日本のインフラ基盤を担う総合建設会社、東急建設株式会社。同社では、全社的なDX戦略の一環として「データドリブン経営の実現」を重要なテーマに掲げ部門横断の「データドリブン推進ワーキンググループ(以下、データドリブン推進WG)」を組織し、全社を挙げた改革に着手。その強力な武器として選ばれたのが、AI搭載型データ分析プラットフォーム「HEARTCOUNT」です。
なぜ彼らはHEARTCOUNTを選んだのか。そして、ツール導入は組織にどのような変化をもたらしたのか。今回のインタビューでは、3月末まで同ワーキンググループの事務局として活動を推進されてきた経営戦略本部 コーポレートデジタル推進部 企画グループの皆様に、そのリアルな軌跡を伺いました。
※東急建設の皆様の所属・肩書はインタビュー実施時点。
専門人材が限られる中でも全社的なデータ活用を。4年前から続く挑戦と見えてきた壁
東急建設では、約4年前からデータドリブン経営の実現に向けた取り組みを本格化させていました。その中核を担うのが、部門の垣根を越えてメンバーが集う「データドリブン推進WG」です。
「我々の部署は、全社のコーポレート領域におけるDX戦略に沿ったデジタル施策や、データによる意思決定が当たり前に行われる状態を実現するための施策を立案・実行する役割を担っていました。その活動の一環として、このワーキンググループの事務局を推進していました」
東急建設株式会社 経営戦略本部 コーポレートデジタル推進部 企画グループ グループリーダー・小和瀬咲絵氏/以下、東急建設・小和瀬氏
東急建設・小和瀬氏
ワーキンググループの目的は、土木や建築といった各部門に蓄積された様々なデータを分析し、次の意思決定に繋げること。しかし、全社的なデータ活用を推進する中で、いくつかの大きな課題が浮き彫りになりました。
「以前、他社の分析ツールを導入していた時期もありましたが、第一にコストが非常に高かった。さらに、分析手法の幅が限られており、ツール単体ではやりたい分析が完結できない点が、弊社とあまりマッチしないと感じていました」
東急建設株式会社 経営戦略本部 コーポレートデジタル推進部 企画グループ・鈴木涼太氏/以下、東急建設・鈴木氏コストや機能面に加え、より深刻だったのが「データ」と「サポート」の問題です。社内には多くのデータが存在するものの、その形式は部署ごとにバラバラで、分析に使えるようにするためには膨大な加工時間が必要でした。にもかかわらず、以前のツール提供元の支援は限定的で、データの加工や実践的な分析支援まではカバーされていなかったのです。
東急建設・鈴木氏
「結果として、分析結果の読み解きから次のアクションに繋げていく部分がうまくいかず、頓挫してしまうことがありました。我々事務局側にも専門的な分析人材が豊富にいたわけではなかったので、サポートがない状況は大きな課題でした」
東急建設株式会社 経営戦略本部 コーポレートデジタル推進部 企画グループ・小幡躍氏/以下、東急建設・小幡氏
東急建設・小幡氏
決め手は「使いやすさ」と「伴走支援」。分析の民主化を目指したツール選定
既存ツールの課題を解決し、データ活用の取り組みを次のステージへ進めるため、同社は新たなソリューションの検討を開始。複数のツールを比較する中で、HEARTCOUNT(当時は「BrainPad VizTact」という名称)に出会います。
導入の決め手は、大きく二つあったと鈴木氏は語ります。一つ目は、「簡単な操作で機械学習ができる」という点です。
「ワーキンググループには、分析経験が豊富なメンバーもいれば、『分析とは何か』というレベルの初心者もいました。HEARTCOUNTは、専門知識がない初学者でも直感的な操作で分かりやすく、使いやすいと感じました。現場主体でデータを活用できる体制づくりを目指す我々にとって、この操作性は非常に重要でした」
東急建設株式会社 経営戦略本部 コーポレートデジタル推進部 企画グループ・鈴木涼太氏/以下、東急建設・鈴木氏そして二つ目の、より決定的な要因となったのが「手厚い伴走支援」への期待でした。
「データサイエンティストの方が、どこまで支援してくれるのかという点は非常に重視していました。HEARTCOUNTの提案には、王さんをはじめデータの前処理である加工の段階から深く入り込んで支援してくれる体制が含まれていました。これは、専門人材が不足していた我々にとって、非常に心強いものでした」
東急建設株式会社 経営戦略本部 コーポレートデジタル推進部 企画グループ・鈴木涼太氏/以下、東急建設・鈴木氏分析手法の豊富さやコストパフォーマンスの高さはもちろんのこと、「ツール提供」にとどまらず、データ加工から分析、そしてアクションプランの策定までを一気通貫でサポートするHEARTCOUNTの体制が、東急建設が抱える課題にまさに合致したのです。
土木・営業・デジタルエンジニアリングまで。多様な現場で進むデータ活用と、経営を動かした「年次報告会」
HEARTCOUNT導入後、同社のデータ活用は大きく加速しました。WGを中心に、様々な部門で具体的な分析プロジェクトが進行しています。
- 土木の事業管理部門:決算期・通期での利益率や生産性のダッシュボード化 手持工事の進捗状況に関するデータを分析し、各作業所や工事分類別の生産性を可視化。関係者が非常に多いプロジェクトにおいて、ダッシュボードを起点とした情報共有や迅速な意思決定に活用。
- 建築の新規取組案件の調整部門:坪単価の算出 過去の膨大な案件データを活用し、建物の用途別(マンション、倉庫など)の坪単価を算出。営業活動における見積価格帯の導出精度の向上に貢献。
- 建築のBIMを中心とした支援部門:BIM生産設計の効果算定の指標作成 BIM生産設計を実施した場合の効果を可視化・分析し、業務最適化や生産性向上に役立てる。
「特に土木の事業管理部門の生産性向上の取り組みでは、関係者が多い中で共通認識を持つためにダッシュボードが不可欠です。HEARTCOUNTはアウトプットが迅速で、要望を伝えるとすぐにサンプルのダッシュボードを作成してもらえました。このスピード感がなければ、プロジェクトはここまで進まなかったと思います」
東急建設株式会社 経営戦略本部 コーポレートデジタル推進部 企画グループ・鈴木涼太氏/以下、東急建設・鈴木氏
※掲載している画面はサンプルです。表示されているデータや数値はすべてダミーデータであり、実際のお客様の情報とは関係ありません。
そして、これらの活動の集大成ともいえる場が、年に一度開催される「取り組み成果報告会」です。この会には、WGに参加する各部門の担当者に加え、社長・副社長を含む経営層も出席します。
「各部署が一年間取り組んできた分析内容と結果を報告し、そこから見えたデータに関する課題や、次の一手について経営層に直接提言する場を設けています。この取り組みを通じて、会社として『どのようなデータを、どのように蓄積していくべきか』という課題意識が、経営レベルで共有されるようになりました。これは非常に大きな成果だと感じています」
企画グループ グループリーダー・小和瀬咲絵氏大企業でありながら、現場の課題や分析結果がダイレクトにトップへ届く。このスピーディーな仕組みこそ、同社のデータドリブン文化を力強く推進している原動力です。HEARTCOUNTと専門家の支援があったからこそ、経営層に自信をもって報告できるレベルのアウトプットが可能になったと、メンバーは振り返ります。
「分析」の先にある「アクション」へ。HEARTCOUNTと描く、真のデータドリブン経営の未来
最後に、HEARTCOUNTを実際に使ってみての率直な評価と、今後の展望について伺いました。
「特に気に入っているのは、やはり分析の初心者でもスムーズに可視化・分析ができる点です。データの分布なども簡単に確認できますし、視覚的に分かりやすいグラフは、報告を受ける側にとっても認識のズレが少なく、結果を正しく読み解く助けになっています」
東急建設株式会社 経営戦略本部 コーポレートデジタル推進部 企画グループ・天明幹太氏
東急建設・天明氏
一方で、「データ加工は、やはりある程度のスキルが必要で、誰でもすぐにできるわけではない難しさは感じています」(東急建設・鈴木氏)といった改善への期待も聞かれました。こうしたリアルな声も、HEARTCOUNTがサービスを改善していく上で貴重なフィードバックとなります。
同じ課題を持つ他社の担当者へHEARTCOUNTを勧めるとしたら、どう紹介するか。この問いに対し、二つの視点から魅力を語っていただきました。
「まず『使う側』の視点では、視覚的で使いやすいUIに加え、AI機能によって分析にかかる時間を大幅に削減できる点が大きいです。これにより、分析作業そのものではなく、その先の『議論』や『意思決定』という、より本質的な業務に時間を割くことができます。一方、『報告を受ける側』の視点では、分かりやすいダッシュボードを通じて、迅速かつ正確に状況を把握し、次の判断を下せるようになる。双方にとってメリットが大きいツールだと思います」(東急建設・鈴木氏)
今後の展望として、同社は「データに基づいた意思決定の文化醸成」をさらに推し進めていきたいと考えています。
「これまではデータ分析そのものに時間がかかっていました。今後はHEARTCOUNTのAI機能なども活用しながら分析時間をさらに短縮し、具体的なアクションにより多くの時間を使える状態を目指していきたい。それが、我々が目指すデータドリブン経営の姿です」(東急建設・小和瀬氏)
こうした東急建設様の取り組みに対して、HEARTCOUNT Japanの王は「13年以上にわたり300社以上のデータ活用をご支援してきましたが、東急建設様のように、ワーキンググループを継続的に運営しながら、現場・管理部門・経営層が一体となって取り組まれているケースは決して多くありません。特に印象的だったのは、社内メンバーだけで完結させるのではなく、外部のデータサイエンティストも積極的に取り入れながら、部門横断で丁寧に議論と改善を積み重ねられている点です。また、“データをもとに議論し、意思決定する文化”を全社で醸成しようとされている姿勢にも、大きな印象を受けました。日本企業におけるデータドリブン経営を考える上でも、多くの学びがある取り組みだと感じています」と語ります。
"勘と経験"が重視されがちだった建設業界において、データという客観的な羅針盤を手に、新たな航海へと乗り出した東急建設。経営層から現場まで、全社一丸となって推進するその変革の中心で、HEARTCOUNTはこれからも信頼されるパートナーとして伴走を続けます。
東急建設の皆様
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